猫の恩返しがジブリじゃないとされる要因と映画の評価

スタジオジブリ

スタジオジブリの作品として2002年に公開された「猫の恩返し」は、特異な存在です。

この映画は「耳をすませば」の主人公、月島雫が書いた小説を基にしたスピンオフであり、そのあらすじは猫の国の王子を救った女子高生ハルの奇妙な冒険を描いています。

しかし、多くの視聴者は「猫の恩返しはジブリじゃない」と感じることがあります。

その理由は、監督の森田宏幸氏の新しいアプローチ、独特な作画スタイル、そしてジブリパークでの特別な扱いなど、多岐にわたります。

本作の原作「バロン 猫の男爵」に基づくストーリーと映画の違い、そして伝えたいことも深く掘り下げます。

この記事では、作品がつまらないと評される理由と、逆に面白いと感じる視点をバランスよく紹介します。

猫の恩返しはジブリじゃないと言われる理由

スタジオジブリ

スタジオジブリ制作のアニメーション映画「猫の恩返し」が、「ジブリじゃない」と言われる理由は、いくつかの要素に起因しています。

まず、この映画は「耳をすませば」のスピンオフ作品として製作されましたが、宮崎駿さんや高畑勲さんではなく、当時新人の森田宏幸さんが監督を務めた点が大きな理由の一つです。

従来のジブリ作品と比べて異なる作画スタイルや短めの上映時間も、「ジブリらしさ」が感じられないという意見につながっているようです。

「耳をすませば」のスピンオフ

スタジオジブリ

「猫の恩返し」という作品は、スタジオジブリの古典的な傑作「耳をすませば」に深く根ざしています。

この作品では、主人公・月島雫が中学生時代に書いた小説「バロン 猫の男爵」が映画の中心的な物語として描かれています。

スピンオフとしてのこの映画は、原作の物語世界を拡張し、別の角度から「耳をすませば」の世界に光を当てています。

「耳をすませば」では、創作と現実の境界が曖昧で、主人公の創造的な成長が描かれていました。

このスピンオフ作品は、その設定を踏襲しつつ、よりファンタジックで冒険的な要素を取り入れています。

特に、「猫の恩返し」は、猫の国という全く新しい世界を舞台にしており、月島雫の創作した物語が現実と交錯するような魅力的な展開を見せています。

猫の恩返しのあらすじ

「猫の恩返し」の物語は、女子高生ハルの日常から始まります。

ある日、ハルは偶然、トラックに轢かれそうになった猫を救います。

この猫は猫の国の王子ルーンで、ハルの勇気ある行動に感謝し、彼女を猫の国へ招待します。

しかし、この招待は予想外の展開へと繋がり、ハルは猫の国の王子との結婚を迫られる事態に陥ります。

猫の国の摂政である猫王によって、ハルは徐々に猫へと変身させられていきます。

彼女は自分を救うため、そして元の世界へ戻るために、猫の事務所の所長であるバロンや彼の仲間たちと共に、猫の国からの脱出を図ります。

このストーリーは、ファンタジーと冒険を融合させたもので、ハルが直面する困難や課題を通じて成長する姿を描き出しています。

猫の国の色鮮やかで幻想的な世界、ユニークなキャラクターたち、そしてハルの内面の変化は、視聴者に深い印象を残す要素となっています。

監督の選定と新人スタッフ

「猫の恩返し」の監督として森田宏幸さんを起用したことは、ジブリ作品のイメージを一新する要因となりました。

宮崎駿さんは、新人監督にチャンスを与える意図で森田さんを選んだそうです。

その結果、彼の作風は従来のジブリ作品とは一線を画すものとなりました。

またこの作品の制作チームはほぼ新人スタッフで構成されており、彼らの持つ新鮮なアイデアが従来のジブリ作品とは異質な仕上がりを演出しました。

異なる絵柄と作画スタイル

この映画の絵コンテは、森田宏幸さんが手がけており、原作者の柊あおいのイラストをリスペクトした作画となっています。

これにより、従来のジブリ作品とは異なる作画となり、「ジブリじゃない」という声が挙がる原因の一つとなっています。

主人公ハルのキャラクター設定

スタジオジブリ

主人公のハルは、優柔不断でどこか抜けており、特にやりたいことも見つかっていません。

これは、ジブリ作品のヒロインたちとは異なる特徴であり、視聴者に新しい印象を与えました。

明確な目標や夢を持っていない点が、他のジブリ作品のヒロインたちと異なります。

従来のジブリ映画では、いろんな事を乗り越えて成長する姿が描かれる事も多いのですが、『猫の恩返し』のハルは、特に成長には触れず、現代の等身大の女の子がそのまま描かれているのです。

作品全体のノリ、セリフ回しがジブリっぽくないと言われる由縁もこんなところにありそうですね。

猫の恩返しの原作とその違い

「猫の恩返し」の映画は、柊あおいによる原作「バロン 猫の男爵」に基づいていますが、原作と映画の間にはいくつかの違いが存在します。

原作では、バロンは黒に近いこげ茶色の毛色を持ち、映画版では黄色がかった茶色の毛皮に変更されています。

さらに、映画ではバロンがより紳士的で冷静沈着なキャラクターとして描かれていますが、原作では彼の茶目っ気が強調されています。

原作の物語は、映画版よりも深い背景設定と複雑なプロットを持っており、映画では省略されたり変更されたりしている部分が多くあります。

例えば、原作には登場する猫王の妃に関するストーリーラインは、映画では触れられていません。

また衝撃的なところでは、原作ではユキちゃんは死んでいる点が挙げられます。

あわせて読みたい

猫の恩返しのユキちゃんは死んでるという噂は都市伝説なのかスタジオジブリスタジオジブリの魅力的な作品「猫の恩返し」は、原作「バロン～猫の男爵」と映画で異なる展開を見せますが、その中でも特に注目を集めているのが、ユキ...

猫の恩返しはジブリじゃないとの評価

スタジオジブリ

「猫の恩返し」に対する評価は多様です。一部では「ジブリじゃない」という意見がありながらも、作品が持つ独自の魅力やメッセージは多くの人々に愛されています。

猫の恩返し つまらないと感じる視点

「猫の恩返し」を「つまらない」と感じる視点は、従来のジブリ作品と比較して異なる作画スタイルや物語の展開にあると言えます。特に、ジブリ作品に慣れ親しんだ視聴者からは、その違いが際立って感じられることもあるでしょう。

猫の恩返し 面白いと評価する理由

一方で、「猫の恩返し」を面白いと評価する声も多くあります。その理由としては、ユニークなキャラクターや、猫の国のファンタジックな世界観、そして心温まる物語が挙げられます。

猫の恩返しが伝えたいこと

ジブリ作品としてはユルいストーリーで、メッセージ性はあまり感じられない作品ですが、作中でのセリフから思春期の若者に向けてのメッセージととれるセリフがあります。

バロン「ダメだハル、自分を見失うんじゃない。君は君の時間を生きるんだ」

ハル「私、間違ってなんかいなかった。猫を助けたことも迷って苦しんだことも、みんな大切な自分の時間だったんだ」

自分自身を見失わないこと、そして人生に無駄な時間は無いといったことを伝えたかったのではないでしょうか。

猫の恩返し ジブリパークにおける扱い

ジブリパークのある愛・地球博記念公園（愛知県長久手市）には、「猫の城遊具」が設置されています。

この遊具は、映画に登場する「猫王の城」をモチーフにしており、子どもたちが滑り台や迷路、ターザンロープなどを楽しめるよう設計されています。

猫の恩返しのグッズ展開

「猫の恩返し」関連のグッズは、そのユニークなキャラクターや物語の世界観を反映しており、ファンからは高い人気を集めています。バロンやユキちゃんのフィギュアから、映画のシーンを模したアイテムまで、多彩なグッズが展開されています。

猫の恩返しはジブリじゃないについてのまとめ

記事のポイントについてまとめます

• 「猫の恩返し」は「耳をすませば」のスピンオフ作品
• 監督は宮崎駿や高畑勲ではなく、当時新人の森田宏幸
• 作画スタイルが従来のジブリ作品と異なる
• 猫の国というファンタジー要素が強い世界観
• 上映時間が75分と短めでジブリ作品と異なる展開
• 物語は女子高生ハルが猫の国での冒険を描く
• 主人公ハルのキャラクター設定はジブリ作品と異なる
• 原作「バロン 猫の男爵」と映画の間にはいくつかの違い
• ジブリ作品としての評価は多様、面白いとの声も
• ジブリパークでは「猫の城遊具」が設置されている
• 映画関連グッズはユニークなキャラクターや世界観を反映