日本の料理の中には、広く知られているものだけでなく、隠れた名品やマイナーな逸品が数多く存在します。
その中の一つ、むじなそばは、多くの人々にはまだ知られていないにもかかわらず、意外に身近な食べ物です。
きつねそばの甘辛い油揚げと、たぬきそばの揚げ玉を組み合わせたこのむじなそば、一体どのような背景で生まれたのでしょうか。
この記事では、むじなそばの魅力を紹介しつつ、その意外な由来と発祥の物語に迫っていきます。
記事のポイント
- むじなそばの基本的な特徴とその成分(きつねそばの甘辛い油揚げと、たぬきのサクッとした揚げ玉を組み合わせた蕎麦)
- むじなそばとたぬきそばの違いとその背景
- むじなそばの名前の由来に関する2つの説
- むじなそばの発祥と、その起源とされる蕎麦屋「松月庵」の情報
むじなそばの魅力とその歴史
- むじなそばとは?
- むじなそばとたぬきそばの違い
- むじなうどんもある
むじなそばとは?
むじなそばとは、きつねそばの甘辛い油揚げと、たぬきのサクッとした揚げ玉両方を乗せたそばのことです。
この油揚げとたぬきの揚げ玉がより一層そばの味わいを引き立ててくれます。
きつねそば、たぬきそばの具材を同時に食べられるのは満足感があり、想像しただけでもおいしそうですね。
むじなそばとたぬきそばの違い
むじなそばとたぬきそばは、ベースの蕎麦は同じですが乗せている具材が異なります。
たぬきそばは、揚げ玉を乗せた蕎麦のことを指します。
揚げ玉は「タネが無い」=「タネ抜き」が訛って「たぬき」となったと言われています。
一方、むじなそばは、たぬき蕎麦に対して揚げ玉だけでなく、きつねそばの油揚げも乗せています。
このように、たぬきそばときつねそばに対抗して、むじなそばと名付けられたと言われています。
むじなうどんもある
むじなそばがあるなら、むじなうどんはどうなの?と気になる方も多いでしょう。
実は、むじなそばと同じように、むじなうどんも存在します。
このうどんは、そばと同じく、甘辛く味付けされた油揚げとサクサクの天かすをトッピングしたものです。
つまり、むじなそばがそばにこれらの具材を乗せたものであるならば、むじなうどんはうどんに同じ具材を乗せたバージョンと考えることができます。
このうどんは、そばと同様に、日本の伝統的な味わいを楽しむことができる料理です。
油揚げの甘辛さと天かすのサクサク感が、うどんのもちもちとした食感と組み合わさることで、独特の美味しさを生み出しています。
また、むじなそばと同じく、むじなうどんも「たぬき」と「きつね」の良いところを合わせたような料理と言えるでしょう。
むじなそばの名前の由来と発祥
- 同じ穴のむじな
- むじなそばの発祥は東京
- 浅草の翁そば
- 関西では馴染みが無い
- むじなそばについてのまとめ
同じ穴のむじな
むじなそばの名前の由来には2つの説があります。
一つは、油揚げを乗せたきつねでもなく、揚げ玉を乗せたたぬきでもないことから「むじな」そばと呼ばれるようになったというもの。
もう一つは、「同じ穴のむじな」ということわざから来たという説です。
このことわざは、「一見違っているように見えるが、実は同類である」という意味合いを持っています。(このことわざの背景には、アナグマやハクビシン、そして地方によってはタヌキを指す「むじな」という言葉が関係しています。
アナグマが掘った巣穴には、他のアナグマやタヌキが住み着くことがあり、この異なる種類の動物が同じ場所にいることから、このことわざが生まれました。)
むじなそばの発祥は東京
発祥に関しては、東京都葛飾区の「松月庵」という蕎麦屋が起源とされていますが、残念ながら2017年3月に閉店してしまいました。
浅草の翁そば
浅草にある、大正3年創業の老舗そば店「翁そば」は、地元の人々や遠方から訪れる観光客にも愛されている名店です。
このお店の隠れた名物が「むじなそば」で、実は公式のメニューには記載されていません。
しかし、長年の常連客やそば愛好家の間では、このむじなそばが非常に美味しいと評判になっています。
翁そば:東京都台東区浅草2-5-3
関西では馴染みが無い
関西地方では、「むじなそば」という名前に馴染みが薄いかもしれません。
なぜなら、大阪や京都などの関西地域では、そばやうどんの呼び名が関東とは異なるからです。
たとえば、大阪では「たぬきそば」と言えば、油揚げが入ったそばのことを指します。
これは関東で言う「きつねそば」と同じものです。
一方で、「きつねうどん」と言えば、やはり油揚げが入ったうどんを指しますが、これは関東でも同じ呼び名です。
京都ではさらに独特で、あんかけのきつねうどんが「たぬき」と呼ばれています。
このように、関西地方ではそばやうどんの具材による呼び分けが関東とは異なり、そのため「むじなそば」という名前になじみがないのです。
関西地方で「むじなそば」を知っている人は少ないかもしれませんが、これは地域によって料理の名前や文化が異なるためであり、日本の多様な食文化の一例と言えるでしょう。
- たぬき:揚げ玉(天かす)入りのそば・うどん
- きつね:油揚げ入りのそば・うどん
- たぬき:油揚げ入りのそば
- きつね:油揚げ入りのうどん
- たぬき:あんかけのきつねうどん
むじなそばについてのまとめ
記事のポイントについてまとめます
- むじなそばはきつねそばの甘辛い油揚げとたぬきのサクッとした揚げ玉を乗せた蕎麦
- むじなうどんもある
- きつねそば、たぬきそばの具材を同時に楽しめる
- むじなそばとたぬきそばの違いは具材にあり
- たぬきそばは揚げ玉を乗せた蕎麦
- 揚げ玉の「タネが無い」が「たぬき」となったとの説
- むじなそばは油揚げと揚げ玉の両方を乗せる
- 名前の由来には「同じ穴のむじな」ということわざが関連
- このことわざは「一見違っているように見えるが、実は同類」という意味
- 発祥は東京都葛飾区の「松月庵」とされるが、2017年に閉店
- 関西ではたぬきやきつねの意味が違いむじなそばの馴染みは無い
- 浅草の翁そばでは裏メニューとしてむじなそばが食べられる