温泉施設に宿泊し、心地よい一時を過ごした後にお会計で見る入湯税という文字。
日本の温泉地で徴収されるこの税金について、入湯税って何?おかしいと疑問や不満を持つ人も少なくありません。
なぜ、温泉に浸かるだけで税金を支払わなければならないのでしょうか?
本記事では入湯税とは何か、その徴収が強制なのか、そしてなぜ存在するのかについてや、入湯税の相場や高い市町村はどこなのか、ビジネスホテルや銭湯などの場所での取り扱いはどうなのかなど、さまざまな疑問を解明していきます。
記事のポイント
- 入湯税が徴収される具体的な理由と目的
- 入湯税の標準的な税率と地域による税率の違い
- 入湯税が適用される施設の種類と条件
- 入湯税の歴史とその制度が始まった背景
入湯税をとるのはおかしい?理解を深める
入湯税は一般的に宿泊費用とは別で徴収されるため、外国人旅行客を含む訪問者が事前にこのシステムを理解していない場合、困惑や不満が生じることがあります。
入湯税の存在を知らなかったり、その目的や使途が明確に説明されていない場合、追加の費用として受け取られ、会計が明朗でないとトラブルになることもあるようです。
本章ではそもそも入湯税とは何かについて解説します。
- 入湯税とは何か
- なぜ入湯税があるのか
- 入湯税の相場はいくら
- 入湯税が高い市町村はどこ?
- 入湯税はいつから存在するのか
入湯税とは何か
入湯税とは、は地方自治体が定める条例に基づいて徴収される目的税で、鉱泉浴場における入湯に対して入湯客が納めてる税金です。
この税金の徴収は、利用者が温泉や公衆浴場の入浴をすることによって、自動的に課されるものです。
目的税とは、特定の目的のために使われる税金のことを指し、入湯税の場合、集められた税金はその地域の公共施設の維持改善や観光資源の保全、さらには地域の環境衛生向上に貢献するために使用されます。
また、この税金は、宿泊施設を利用する全ての人に平等に適用され、温泉に入らなかった場合でも支払いが求められるのが一般的です。
なぜ入湯税があるのか
入湯税は温泉地をはじめとする観光地域の貴重な収入源となっており、その目的は温泉地の環境整備や観光資源の保護、そして地域経済の活性化にあります。
税収は温泉地のインフラ整備や環境保全、さらには消防施設の整備など、公共の福祉向上に使われるため、地方自治体にとって重要な財源の一つです。
入湯税の相場はいくら
入湯税の相場は、多くの市町村で1人1泊あたり150円が標準とされています。
しかし、税率は自治体によって異なり、20円から250円の範囲で設定されている場合もあります。
入湯税が高い市町村はどこ?
入湯税が特に高い市町村としては、北海道釧路市の250円(宿泊)、大分県別府市の500円(宿泊費用の合計50,001円以上)が挙げられます。
また、税収の多い都道府県としては2021年度の集計で1位、箱根町(神奈川県)、2位別府市(大分県)、3位熱海市(静岡県)です。
首都東京から便の良い、箱根、熱海の利用者が非常に多いことがこちらのデータから読みとれますね。
参考:観光経済新聞|1位箱根、2位別府 入湯税収入額2021年度 日本温泉協会まとめ
入湯税はいつから存在するのか
入湯税はの歴史は古く、昭和25年(1950年)から地方税法701条にて定められている 間接税であり、昭和32年(1957年)から目的税として施行されています。
入湯税の疑問を解決
- 入湯税は強制なのか
- 入湯税はビジネスホテルでも必要?
- 温泉じゃない場合も対象?
- 銭湯での取り扱い
- まとめ
入湯税は強制なのか
入湯税は地方自治体の条例に基づいて徴収されるため、対象となる施設を利用した場合は支払いが義務付けられています。
宿泊施設等が特別徴収義務者となり、利用者から入湯税を徴収し、市町村に納入します。
入湯税はビジネスホテルでも必要?
入湯税は、温泉施設がある宿泊施設に限定されているわけではありません。
そのため、ビジネスホテルでも鉱泉浴場の温泉施設を利用する機会があれば、入湯税の支払いが必要になります。
温泉じゃない場合も対象?
入湯税は、その名の通り温泉の利用に関連して徴収される税金ですが、実際には鉱泉浴場に限定されています。
つまり、温泉ではない場合は、入湯税の徴収対象外となります。
天然鉱物由来の効能が表れる鉱泉水を使用していれば、人工温泉も入湯税の課税対象となります。
また、「運び湯」と呼ばれる、温泉を外から運んで提供している施設も課税対象です。
銭湯での取り扱い
銭湯、すなわち共同浴場や一般公衆浴場に関しては、入湯税の課税対象外とされています。
これは、銭湯が日常的な衛生維持のための基本的な公衆衛生サービスとして位置づけられているためです。
住宅内にバスルームがない、あるいは家庭での入浴設備が整っていない居住者が利用する施設として、銭湯が広く利用されています。
このような銭湯は、地方自治体からの補助を受けて運営されることもあり、その入浴料金は都道府県知事によって規制されているのです。
一方で、規制を受けないスーパー銭湯における入湯税の取り扱いは、その施設が温泉水を利用しているか否かによって異なります。
スーパー銭湯やサウナ施設において温泉施設が併設されている場合、利用者は入湯税の支払い対象となります。
入湯税かからない
- 共同浴場 寮、社宅、療養所
- 一般公衆浴場 銭湯
※自治体から補助を受けているため料金に規制
入湯税かかる
- その他の公衆浴場 スーパー銭湯等
※補助を受けていないため料金に規制なし
入湯税おかしいについてのまとめ
税という言葉にはつい敏感になってしまうこの頃ですが、入湯税は以外にも歴史が古く、目的も明確な税ですね。
徴収の仕方は、海外の旅行客から誤解を生まないように改善の余地があるように思えます。(日本人向けの予約サイトでは記載がありますが、海外の方向けには無いのですかね?)
温泉好きの私からすると、温泉地の為に使われているのであればしょうがないかと思える税でした。
記事のポイントについてまとめます
- 入湯税は地方自治体が定める目的税
- 利用者が温泉や公衆浴場の入浴によって自動的に課される
- 目的税は特定の目的のために使われる税金である
- 収集された税金は地域の公共施設の維持改善に使用される
- 全ての人に平等に適用され、温泉に入らなかった場合でも支払いが求められる
- 税収は温泉地のインフラ整備や環境保全に貢献する
- 多くの市町村で1人1泊あたり150円が標準
- 税率は自治体によって異なり、20円から250円の範囲で設定
- 入湯税が特に高い市町村には北海道釧路市や大分県別府市がある
- 入湯税の歴史は古く、昭和25年から地方税法に定められている
- 銭湯は一般的に入湯税の課税対象外
- 温泉施設があるビジネスホテルでは入湯税が必要